コミュニケーションについての雑感⑥  通称「心の図」解説
昨日の河合隼雄先生の「人の心などわかるはずがない」について、私が国語の物語文の授業でずっと使い続けてきた、通称「心の図」からの解説を載せておきたいと思います。
教員生活2年目あたりからこれをベースにしての授業スタイルになっていきました。
(具体的な授業についてはまた別の機会に)






これは子ども達に提示していたものを、中学生以上にも使えるような形で作成したものです。
実際の授業では、それぞれのエリアが何を示しているのかは了解ずみなので、黒板に大きく枠組みに線だけ書いて、あとはみんなの発言を書き込んでいきました。

この図は、上原先生の「心意伝承」や、ユングの「集合的無意識」、それから日本を代表するイメージ研究の第一人者であった藤岡善愛先生の「イメージタンク」などをアレンジして作成しています。
イメージとしては個々人の表に出ている部分が、海面から顔をだしている島。
見かけ上はバラバラにみえていても、海の中をみていくと、ある段階で他の島とつながっている。
潜れば潜るほど他の部分とつながって・・・・最終的には全部が一つになっていく。
人類に共通した普遍的な意識世界ですね。







無意識世界については学者によって大きな隔たりがあるというのをきいたことがあります。
例えば脳科学などの成果をふまえてシナリオを作成したとされるピクサー映画「インサイド・ヘッド」では、細かくは覚えていませんが、たしか無意識の世界は「抑圧された思い」「嫌な思い出としてわすれさられた思い」などが捨てられているような地下の部屋、というような描かれ方をしていたと思います。(違っていたらすみません)

たしかに無意識でも、普通の意識世界に近い層(グレーゾーンの部分)にはそういったものがたまっているでしょうね。
子ども達には、「現実世界の汚れで汚染された地下水」という説明をしました。

だから「無意識世界のものを引き出す」「探る」という上原先生の心意伝承研究や、生態研究式の授業は、危険ではないかという意見がよせられたこともあります。

ただ、汚染されている地下水だって、さらに深く掘っていけば純粋になっていく。
現実的な、物質的な価値観などの影響を受けていない、普遍的な領域にどんどん入っていくわけです。

そしてこのような無意識世界(潜在意識)こそが、個々の人間を根底から動かしているのだというのが深層心理学の立場の主張です。良くも悪くも「自己暗示」「トラウマ」などで心が病んでしまった、というのも現実意識に近い部分があまりに汚染され、固まってしまって、下にあるピュアな部分とコンタクトがとれなくなっている状態、といえましょう。

上原先生がよく「無意識とはわからないから無意識なんだ。わかった瞬間にそれはもう無意識の領域でなくなるんだ」と話していました。そして、無意識世界は非常に広大で深い。どんどん掘り下げていってもいくらでも分からない領域があると。

自分の心も人の心も、「わかった」というのは、その時にキャッチした境界線の部分にしかすぎません。
自分でも、誰にも気が付かない部分が「わかった」と覆うのと同時にすぐ下にスタンバイする。
この繰り返し。

そして自分では思いがけないものが山ほどかくれているのもこの無意識世界。
「本当の自分」「自分らしく」という言葉が重要視されていますが、それは現時点でそう思い込んでいるものでしかありません。いつ真逆の自分がひょっこり顔を出すかもわからないし、矛盾する風数の自分が同時に顔を出すかもしれない。


そんなことが次々と起きてくるのが普通です。
そうなると、人間の心なんて「分かった」なんてとてもじゃないけど言えませんよね。

「分かった」と思った瞬間に思考停止状態ですからね。